本研究では、過活動膀胱の症状緩和に対する看護技術を考案するために、1)骨盤底機能やメタボリックシンドロームに関連する複合的な生活習慣要因と過活動膀胱の関係を明らかにした後に、2)生活習慣要因による膀胱壁の虚血及び排尿筋過活動が発生する機序を解明することを目標とする。今年度は、1)メタボリックシンドロームに関連する複合的な生活習慣要因と過活動膀胱の関係について検討することを目的に、地域在住高齢者88名(平均年齢74.0歳、男性73名(83.0%)、糖尿病12名(13.6%)、高血圧40名(45.5%)、脂質異常症5名(5.7%))を対象に、自記式質問紙調査を行った。調査では、属性及びメタボリックシンドロームを含む合併症の有無、過活動膀胱症状質問票による過活動膀胱症状、簡易版自記式食事歴法質問票による栄養摂取状況について調べた。その結果、過活動膀胱と疑われた者は22名(25.0%)、大半(85.7%)は過活動膀胱症状質問票スコアが6-11点であり症状は中等度であった。過活動膀胱の有無により、糖尿病、高血圧、脂質異常症の有病者数に違いはなかった。また、過活動膀胱の有無による栄養摂取量の比較では、過活動膀胱患者が米飯を有意に多く摂取していたが、総エネルギー量や総たんぱく質量や脂質のほか、抗酸化酵素のビタミンCやビタミンEなどの摂取量は過活動膀胱の有無による違いはなかった。
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