IL28B SNPとC型慢性肝炎治療効果は関連するが、近年標準治療となったテラプレビル3剤治療においては、IFNへの反応性が治療効果を規定する。我々はこのIFN不応例の病態を解明するため、C型慢性肝炎患者末梢血リンパ球(PBMC)におけるIFNλおよび自然免疫関連分子の発現を解析しIFN応答性との関連を調べるとともに、SNPが治療効果を規定する機序についてin vitroでの検討を推進している。本研究では、臨床的検体を用いた自然免疫型遺伝子発現とIFN不応性分子機構の解明として、Peg-IFN/RBV治療を施行したC型慢性肝炎患者50例(rs8099917 TT:major群27名、TG/GG:minor群23名)を対象とした。PBMCを採取後IFNα+poly I:刺激を行い、IFNλを含む自然免疫関連分子の発現量を治療効果(Virological Responder(VR) vs NR)との関連を解析した。その結果IFNα+poly I:C刺激によるIL28Bの発現誘導はmajor・minorいずれにおいてもNRがVRに比べ低値であり、IL28B発現誘導と前治療効果の関連が見られた(P=0.003)。そこで、IL28B majorまたはminorの患者由来のDNA配列を有するIL28B reporter plasmidを作成し、自然免疫系シグナル刺激を行った際のIL28B転写活性を解析した。Promoter活性はminor typeがmajorに比し低値であり、rs8099917と連鎖する近位SNPによりIL28B転写活性に差異が生じる可能性が示唆された。従って、IFN投与時のPMBCにおけるIL28B産生能はIFN-based therapyの治療効果を規定することが示唆された。またIL28B SNPが治療効果を規定する機序の一つとして転写活性の差が考えられた。
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