今後の研究の推進方策 |
1)マウス血清と肝組織でのmiRNAの検討 肝疾患の病態は、10~30年かけて慢性肝炎、肝硬変、肝癌へと進行するため、各病気のステージにおける評価は非常に重要なことである。C型慢性肝炎では、miR-122をターゲットとした治療開発が進んでおり、今後肝硬変、肝癌ステージにおける患者さんの治療開発が望まれる。血清中のターゲットになりそうなmiRNAをReal-time PCRなどで発現状況の詳細な検討を行い各肝疾患ステージで相違が見られるか、さらには、肝生検を用いて発現状況を詳細に調べる。 2) 肝癌幹細胞マーカーとの関わり及び癌モデルへの治療判定 先述の検討後、肝組織切片を利用し、肝癌幹細胞マーカー(CD133,CD44,CD13など)の免疫染色を施行し、1)のin situとの比較検討し、癌幹細胞でのmiRNAの発現の詳細な照らし合わせを行う。そこで特に癌幹細胞に対してターゲットとなるmiRNAが得られれば、さらに治療としての効果を確認するため、培養細胞やマウスを利用し、in vitro, in vivoで検討する。具体的には、in vitroにおいて肝癌幹細胞に合成miRNAを利用して発現を上昇させたり、化学合成miRNAインヒビターでノックダウンさせ、抗腫瘍効果を判定する。計画どおりに進んだなら、肝炎肝硬変モデル(Suetsugu A. Transplantation 2008)や肝癌転移モデルを作成し、in vivoレベルでの効果の判定を行う。
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