研究課題/領域番号 |
24890082
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
坂部 純一 浜松医科大学, 医学部, 助教 (30631494)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | タンパク精製 |
研究概要 |
本年度は、下記の2つの実験を行った。 実験1)まず、野生型および変異型(C末端領域欠損)の2種類のプロフィラグリンC末端領域遺伝子発現ベクター(ほ乳類細胞発現用)を構築した。2種類のベクターをそれぞれ正常ヒト表皮角化細胞にリポフェクション法により遺伝子導入した。その後、細胞よりタンパクを抽出し、ウエスタンブロット法により、発現タンパクを評価した。以上の実験により、プロフィラグリンC末領域の突然変異は、タンパク発現に影響しないことが証明出来た。 実験2)次に、野生型および変異型(C末端領域欠損)の2種類のFlag‐tagで標識したプロフィラグリンC末端領域発現ベクターを構築した。このベクターを293EBNA細胞に遺伝子導入試薬を用いてトランスフェクションを行った。細胞は無血清培地で培養し、48時間後、培養上清から発現タンパクを抽出した。方法は、Flag‐tagに対するアフィニティー精製に基づき、N末端に存在するFlag‐tag に対する抗体を吸着したアフィニティーゲルと培養上清を反応させた。反応後、目的のタンパクを洗浄・溶出の過程を経て精製した。次年度に計画している、C末認識酵素の同定に関する実験に取り掛かることが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に計画していたタンパクの精製を行うことが出来た。当初の計画通り、実験が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次の3つの実験を行うことを計画している。 実験1)まず、精製した野生型及び変異型タンパクを用いて、カリクレイン5と反応させる。野生型プロフィラグリンC末端領域は消化されてフィラグリンモノマーが検出される。しかし、変異型はプロセシングが阻害され、フィラグリンモノマーが産生されないことを予想する。フィラグリン蛋白の検出は、ウエスタンブロット法で行う。 実験2)次に、プルダウンアッセイによる蛋白検出を行う。野生型プロフィラグリンC末端領域をコードする発現ベクターを用いて、正常ヒト表皮角化細胞に遺伝子導入する。細胞溶解液または皮膚組織の抽出産物を用いてプルダウンアッセイを行い、C末端領域に結合するタンパク質を同定する。候補タンパク質の一つにカリクレイン5があり、ウエスタンブロット法で検出を試みる。また、未知の酵素が検出される可能性があるため、液体クロマトグラフ質量分析法で新規酵素の同定を目指す。タンパク質同定後は、変異型プロフィラグリンC末端領域でプルダウンが出来ないことを確認し、C末ペプチドの機能的特異性を確認する。 実験3)免疫沈降を用いたC末端領域認識酵素の同定を行う。野生型プロフィラグリンC末端領域をコードする発現ベクターを用いて、正常ヒト表皮角化細胞に遺伝子導入する。1.2mMの高カルシウム条件下で細胞を培養後、タンパクを抽出する。得られたタンパクを、Flag‐tagに対するモノクローナル抗体で免疫沈降を行い、プロフィラグリンC末端領域タンパクを単離する。免疫沈降物をSDS‐PAGE後、カリクレイン5に対する特異抗体を用いてウエスタンブロットを行い、C末端領域を認識するタンパクにカリクレイン5が存在することを明らかにする。 カリクレイン5を候補の酵素として考えているが、研究が計画どおりに進まない時の対応として、他の酵素が末端領域と相互することも考えて、質量分析などを行う。
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