研究課題
糖尿病性腎症を有する患者において糸球体上皮細胞障害が尿蛋白出現に大きく寄与することが明らかとなっている。糸球体上皮細胞は分裂能を有さない高分化細胞であり、一度障害をうけると即座に機能障害や細胞死がもたらされ、尿蛋白の出現に繋がる。つまり、糸球体上皮細胞における恒常性の維持が尿蛋白発症抑制に不可欠である。近年、細胞内浄化機構の一つであるオートファジー・リソソーム系の異常が、各臓器でのオルガネラ異常を引き起こし、代謝性疾患や変性疾患など様々な疾患の原因となることが報告されている。しかしながら、これまで腎症発症・進展におけるオートファジー・リソソーム系の関与は明らかではない。そこで、当院で施行し同意の得られた糖尿病性腎症患者の腎生検サンプルを用いてオートファジー活性をオートファジー分解担蛋白であるP62蛋白の染色により評価した。その結果、同じ糖尿病腎症の患者でも微量アルブミン尿期の患者ではP62蛋白の蓄積を認めなかったが、高度蛋白尿患者では糸球体上皮細胞へのP62蛋白の蓄積を認めた。このことから、高度蛋白尿の状態では糸球体上皮細胞におけるオートファジー活性が低下している可能性が示唆された。そこで糖尿病状態での糸球体上皮細胞障害とオートファジーとの関連を検討するために、糸球体上皮細胞特異的オートファジー欠損マウス(Podo-Atg5-/-)を作製し、高脂肪食負荷により肥満2型糖尿病モデルを作製、糸球体構造の変化、蛋白尿の出現について検討を行った。その結果、オートファジー活性が保たれている場合には高脂肪食負荷により微量アルブミン尿を認めたが、オートファジー活性を欠損させたマウスにおいては蛋白尿の著しい増加を認めた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biochim Biophys Acta.
巻: 1842 ページ: 1097-1108
10.1016/j.bbadis.2014.04.001.