【研究意義】ベビーマッサージが母児の心身両側面に与える効果を検証し、育児支援の1つとして母児に提供する。【目的】本研究の目的は以下の2つである。①マッサージを実施する母親およびマッサージを受ける児にとって、ベビーマッサージの効果を母児の心身両側面から検証する。②ベビーマッサージが母子相互作用に及ぼす効果を客観的指標を用いて検証する。【対象】マッサージ群は生後3ヶ月の児とその母親とし、母親が児に1ヶ月間15分間のマッサージを1日1回以上自宅で実施した25組。抱っこ群はマッサージを行わない通常の生活を送った12組。【結果】目的①:1回マッサージで母親のLF/HF比はマッサージ後に比べてマッサージ中に有意に低下した。唾液コルチゾール値はマッサージ前に比べてマッサージ後に有意に低下した。1ヶ月行ったマッッサージは心拍変動、唾液コルチゾール値ともに有意差はみられなかった。一方、1回、1ヶ月受けたマッサージで児のLF/HF比はマッサージ前に比べてマッサージ中に有意に低下した。唾液コルチゾール値は1回、1ヶ月受けたマッサージ前後に有意差はみられなかった。目的②:POMSの怒り得点は、1ヶ月前に比べて1ヶ月後に有意に低下し、活気得点は有意に上昇した。一方、5ヶ月時の発達年齢は、抱っこに比べて運動領域が2ヶ月、表出言語領域が1ヶ月高かった。母児のマッサージ中の心拍変動値の相関は見られなかった。【考察】母親にとって児にマッサージを行うことは、心身のストレス軽減を促すことが示唆された。児にとって母親から受ける触覚刺激は、ストレスを軽減し、身体を動かす、話すなどの乳児の言語野の発達、運動機能の発達を促す可能性が示唆された。今後は、マッサージ最中の快情動を自律神経活動活動だけでなく、大脳皮質活動も含めて包括的に評価することの重要性が示唆された。
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