研究課題
人工核酸技術の発展に伴い、アンチセンス医薬は確かな全身作用を示しうることが明らかとなってきたが、一方で未だ投与量が過剰で安全性が懸念される。申請者は、活性型アンチセンス分子の薬効を最大化するべく、新たな仮説を立てた。すなわち、アンチセンス分子がmRNAに結合し、切断した後にさらに次の標的mRNAに転移する「触媒的ターンオーバー効果」を付与することによりアンチセンス効果をさらに高めることが可能であると考えた。昨年度においては、高脂血症の標的として注目されるapolipoprotein Bに対する様々なアンチセンス分子をデザインし、無細胞評価系を用いてアンチセンス分子のターンオーバー現象の存在を実験的に証明した。当該年度においては、さらにこのターンオーバーが実際にin vivoでも認められるかについて、マウス個体にこれらのターンオーバー効率の様々なアンチセンス分子を投与し、サイレンシング効果と相関があるか精査した。この結果、ターンオーバー効率とapolipoprotein Bのサイレンシング効果に正の相関が認められ、in vivoにおいてもアンチセンス分子自体がターンオーバーしていることが強く示唆され、ターンオーバーを最大化するための必要十分な結合力の存在を明らかにした。体内動態そのものを改善することで活性型アンチセンス分子の量そのものを増加させる取り組みも行った。緑色蛍光蛋白質に対するアンチセンス分子を設計し、市販の医薬品ライブラリの各化合物をこのアンチセンス分子とともに緑色蛍光蛋白質を強制発現した培養細胞に導入し、蛍光強度を評価したところ、強く緑色蛍光蛋白質の発現を抑制する化合物を見出した。このようなアンチセンス医薬の効果を高めうる低分子化合物は、将来的に併用療法への展開やコンジュゲート技術を用いた修飾アンチセンス医薬の開発につながる有望なシーズとなりうる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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European Journal of Pharmacology
巻: 723 ページ: 353-359
Nucleic Acid Therapeutics
巻: Epub ahead of print ページ: 1-8
10.1089/nat.2013.0470