研究課題
感染症は高い死因の1つであり、特に発展途上国では大きな問題となっている。これまでに多くの病原体検出法が開発されてきたが、感染症の拡大を最小限に抑えるためには、あらゆる病原体を統一したプロトコルで迅速に同定する必要がある。迅速な病原性微生物のゲノム同定には、ロングリードが可能な第3世代シークエンサーが有利であると考え、平成24年度は、第3世代シークエンサーによる病原体同定法の確立と第2・第3世代シークエンサーの比較検討を主に行った。そして第3世代シークエンサーを用いた場合に、90分のシーケンシングから得られた情報のみで、約1 Mbpのバクテリアの完全長ゲノムが再構築できることを報告した。そこで平成25年度は、前年度に確立した方法の応用として、先ず食中毒の原因菌であるVibrio parahaemolyticusのゲノム解析に取り組んだ。また、塩基配列データを効率よくアセンブルするパイプラインの構築にも取り組んだ。その結果、約3 Mbpと2 Mbpの2本の染色体で構成される本菌について、1回のシークエンシングデータから完全長ゲノムを得ることに成功した。また以前に、第2世代シークエンサーを用いたメタゲノム解析により、敗血症の原因菌として同定したKlebsiella variicolaについても、第3世代シークエンサーを用いて解読することで、ほぼ完全長のドラフトゲノム(約5.5 Mbp)が得られた。このことから、病原体の探索には第2世代シークエンサーを、ゲノム解析には第3世代シークエンサーを用いる手法が効率的であることを明らかにした。本手法は、迅速かつ安価にゲノム解析ができることから、他の病原菌や薬剤耐性菌などについても有用な手法に成りうると予想される。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
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