研究課題
慢性腎臓病および透析患者数は年々増加し医療経済を圧迫しており、慢性腎臓病の病態解明と治療法の開発が急務である。細胞内分解システムのひとつであるオートファジーは不良な細胞内タンパクやオルガネラの除去により細胞内恒常性維持を担っているが、我々はオートファジーが腎臓において加齢ストレス及び急性の腎障害に対して保護的に働くことを証明してきた。また、オートファジーはタンパク分解によるリサイクルの役割も担っている。本研究の目的は、慢性腎臓病の病態へのオートファジーの関与の有無と役割を検討し、更にその代謝面での関与をメタボローム解析により詳らかにする事で、最終的にオートファジーの程度を調節することにより、慢性腎臓病治療の可能性を模索することである。申請者らは樹立したノックアウトマウス由来の尿細管細胞(オートファジー不全尿細管細胞)と遺伝子入れ戻し細胞(revertant、有オートファジー能尿細管細胞)を用いた系で、シクロスポリンによる代謝ストレスをかけたときの細胞応答をメタボロームを用いて検討している。また、この分子的機構についてさらに検討を加えていった。その結果、オートファジーがミトコンドリア機能の保持を通じて、細胞内のアミノ酸やTCAサイクルの調整を行い、最終的にエネルギー代謝の調整にまで影響していることが判明した。本結果はオートファジーの代謝制御における極めて新規性の高い内容であり、また、この代謝制御が病態に関連していることを示しつつある。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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