研究課題/領域番号 |
24890126
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
斉藤 雅也 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (00631558)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 肝硬変 / 肝炎 |
研究概要 |
コントロールマウスおよびコリン欠乏肝炎・肝硬変マウスを用いて、血清中代謝産物を網羅的に解析した。 コリン欠乏食投与後4週間目のマウスの肝組織の病理組織学的検索にて、肝炎であることを確認した後、マウス血清からそれぞれ代謝産物を抽出し、得られた抽出液をGC/MSに供した。得られたクロマトグラムを主成分分析によりアミノ酸、有機酸の比較解析を行った。 この結果、コリン欠乏食投与前のコントロール肝組織と比較して、コリン欠乏食投与後4週間目において、肝炎が誘起されていることを確認した。血清中での比較も行ったところ、タウリンの低下が認められた。また、コリン欠乏食投与後8週間目のマウスの肝組織において、肝硬変へ進展していることを確認した。血清中での比較も行ったところ、著明なタウリンの低下が認められた。 以上より、正常肝から肝炎、肝硬変への進展は、タウリンの低下と関連していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の計画は、網羅的代謝物解析による肝硬変への進展予測のための血清メタボロームの同定を行うことであった。平成24年度では、正常肝から肝炎、肝硬変への進展には、タウリンの低下が関わっていることを明らかにした。従って、当初の計画通り、本研究は順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
I:肝炎から肝硬変への進展予測式の作成 肝炎から肝硬変への進展予測式を作成するために、GC/MS分析において、以下の項目をファーストスクリーニングとして検討する。I-1: 血清由来成分でない化合物の確認、I-2: 肝炎患者と肝硬変患者との間で有意な差がある化合物を選択、I-3: 分析を通じて化合物の安定性の確認、I-4: 同じ化合物が違う保持時間に検出される化合物の確認、I-5: 日内・日間変動の確認の5項目である。セカンドスクリーニングとして、ステップワイズ法による説明変数を選択し、ロジスティック回帰分析による予測式を作成する。 II:肝炎から肝硬変への進展予測式の確認 確認試験として、予測式を作成したものとは別の検体の分析結果を作成した予測式に挿入し、同様に感度、特異度を評価することで、作成した予測式の信頼性を確認する。平成24年度と平成25年度の研究成果をまとめることで、質量分析装置を用いた肝炎から肝硬変への進展予測システム開発への足がかりとする。そのため、他機関からも肝炎や肝硬変の臨床血清検体を収集し、上記と同様にメタボローム解析を実施する。そして、得られた結果を肝炎、肝硬変に分け、神戸大学医学部附属病院由来の臨床検体の結果と照合する。
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