本研究は,人工物であるリン酸化プルラン,および天然物であるレクチンの2つのマテリアルを併用することにより,最適な口腔内感染制御システムとしての組み合わせの知見を集積することを目的とした。相互作用の解析を中心に,天然レクチンの効果・効能の範囲確認と生体環境に則した条件での検討を行った。 相互作用の解析の結果,リン酸化プルランと天然レクチンは併用した場合,有効性の阻害が示唆されたため適応方法の工夫によって効能を最適化した。 また,マッシュルーム等の天然レクチンに関しては,Streptococcus mutansの3菌株におけるバイオフィルム抑制効果を確認することができた。この成果によって天然レクチンの効果効能を確定的にしただけではなく,さらに有効なレクチン(海藻由来レクチン)を発見する事ができた。 リン酸化プルラン,およびレクチンの生体環境に則した条件での有効性の確認は灌流条件でのバイオフィルム形成阻害の効果を検討した結果,有効性を確認する事ができた。天然レクチンに関しては,in vitroでの安全性試験を行い,口腔内の細胞に対して為害作用を持たない事を確認した。 今後,天然レクチンを食品として応用し,リン酸化プルランを口腔感染対策を目的とした口腔ケア剤として応用することで,効果的な口腔内感染制御システムへ実用化する予定である。
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