研究課題
顎関節の構造の一部である関節円板は、下顎運動に大きく関係しており、下顎頭への機械的負荷にも多大なる影響がある。成長期における下顎頭への機械的負荷は下顎骨成長へ大きな影響を及ぼし、顎顔面骨格の成長を大きく左右する。本研究では、この関節円板に着目し、成長期の関節円板の重要性を探求する。また、顎関節内障などの関節円板の障害に対し、顎矯正治療で用いる機能的矯正装置を応用することで新たな治法の確立を目的とする。前年度の研究結果より、成長期の関節円板切除は下顎頭における変形性顎関節症を引き起こし、下顎頭軟骨の変化、下顎頭の変形を認めた。また、下顎頭成長に関しては下顎骨の成長不良が認められた。ここで下顎頭軟骨を切除すると下顎頭再生が認められることが以前より誌上発表が散見されていたことに注目し、下顎頭軟骨および下顎頭を切除したものに機能的矯正装置を絡めた研究を行った。その結果、関節円板の有無が下顎頭軟再生に大きな影響を与えていることが明らかとなり、機能的矯正装置の使用を行った場合でも下顎頭軟骨再生が起こらないことが確認された。また下顎頭軟骨再生が起こらなかった下顎頭および円板切除したものにおいては、下顎頭軟骨再生に続く下顎骨成長は認められなかつた。このことより下顎頭軟骨再生において、関節円板が大きな影響を与えていることが示された。これらの結果は、誌上発表および学会発表され、第72回日本矯正歯科学会大会において、評価され優秀発表賞を受賞した。
(抄録なし)
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Journal of Dental Research
巻: 92 ページ: 322-328
10.1177/0022034513480795