研究課題/領域番号 |
24890143
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
永安 慎太郎 広島大学, 病院, 歯科診療医 (60635192)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | エピカテキン |
研究概要 |
申請者がこれまでにマウス培養細胞を用いて脂肪細胞とマクロファージの共培養系を用いて明らかにした結果を踏まえ、EC の標的分子の同定を行った。最初の手段として、TLR4 シグナル伝達によるNF-κB の活性化に関与するタンパク質群についての検討を行った。まず、TLR4 シグナル下流に存在しNF-κB の活性化に関与するタンパク質に対するECの影響を検討することによりECの標的分子の同定を図った。具体的には、マウスマクロファージ細胞株RAW264.7 および脂肪細胞にLPS 刺激を行い、EC 添加群および非添加群の細胞ライセートのウェスタンブロット分析により、TAK1、TRAF6、IRAK 等の関連タンパク質の活性化に対するEC の影響を検討した。その結果いくつかの候補タンパク質を同定できた。現在、同定した遺伝子のノックダウンを行い、LPS 刺激によるTLR4 シグナル伝達においてEC 添加の有無による差はないことを、関連タンパク質群のウェスタンブロット分析および炎症性サイトカインの遺伝子発現についての検討から確認している。 今後は同定された標的タンパク質について、in vitro でのノックダウンや過剰発現系において、その分子の性質に応じ関連する機能解析を行う。さらに、in vivo における機能解析として、炎症の誘発や高脂肪食を負荷したマウスにおいて、標的タンパク質の挙動について検討する予定である。EC による心血管イベント抑制効果の詳細な分子機序の解明を行うことで、ECによる新薬開発などの新規の治療戦略の構築へ発展を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定としては、EC の標的分子の同定を行い、同定された標的タンパク質についてin vitro でのノックダウンや過剰発現系で検討することによって分子の機能解析を行い、さらにin vivo における機能解析として、炎症の誘発や高脂肪食を負荷したマウスにおいて標的タンパク質の挙動について検討する予定であった。 予定していたEC の標的分子の同定を行い、その結果いくつかの候補タンパク質を同定できた。しかしながらNF-κB の活性化に関与するタンパク質群の数は多く、候補タンパク質を絞り込むのに多くの時間を要したため、現在はLPS 刺激によるTLR4 シグナル伝達においてEC 添加の有無による差はないことを、関連タンパク質群のウェスタンブロット分析および炎症性サイトカインの遺伝子発現から確認している段階であり、同定された標的タンパク質についてその分子の性質に応じ関連する機能解析を行う段階までは至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は同定された標的タンパク質についてその分子の性質に応じ関連する機能解析を行う。さらにApoEKO male mice を用いてin vivo でのEC の作用の検討を行う。 実験動物は、動脈硬化症発症モデルマウスであるApoEKO male mice を用いる。7週齢のApoEKO male mice を以下の3 群に分けて比較検討する。第1 群として普通食(nomal diet)を与えてPBS を経口投与したもの、第2 群として高脂肪食(high-fat diet)を与えてPBS を経口投与したもの、第3 群として高脂肪食を与えEC を経口投与する。EC 摂取量は0.76mg/day とする。EC は20%エタノールで溶解しゾンデで経口投与する予定であったが、アルコールの影響を考慮し、ECをPBSに溶解して投与する。実験開始4週間に実験を終了しマウスを12 時間絶食させた後、屠殺し、血清を採取する。その後、PBS で虚血還流し、実体顕微鏡下で大動脈を摘出する。大動脈は切開し、内皮組織が表になるようにシリコン樹脂上に針で固定した後、4%パラホルムアルデヒドで固定処理を行う。固定処理した大動脈はオイルレッドで脂質染色し、蛍光実体顕微鏡で観察するとともに、写真撮影して動脈硬化部位の画像解析を行う。 また同時に、肝臓、脂肪組織、を回収し各群を比較し、EC の抗動脈硬化作用について検討を行う。
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