TLR4 シグナル下流に存在しNF-κBの活性化に関与するタンパク質に対するECの影響を検討することによりECの標的分子の同定を図った。その結果、いくつかの候補は絞られたが、有力なタンパク質が特定できなかったため、より幅広い候補の中からEC と親和性のあるタンパク質を探索する必要性が生じた。そこで、ビオチンタグで標識したECとLPS 刺激をしたマクロファージの細胞ライセートを固定化したカラムに入れ、ビオチンタグで標識された化合物を回収しサンプルを得た。今後は特異的に結合したタンパク質を分離しクマシー染色で可視化した後に質量分析で同定、さらにウェスタンブロット分析により確認するという作業を行っていく予定である。結合するタンパク質が全く採れない場合や、多数のタンパク質が結合する場合が考えられ、その際にはビオチン化の条件検討をし直し、相互作用のあるタンパク質を数種類選択してから再度検討する予定である。またECのin vivoにおいての作用を確認するためApoE KO male mice を用いたEC の抗動脈硬化作用の検討を行った。実験動物は、動脈硬化症発症モデルマウスであるApoE KO male mice を用いた。7週齢のApoE KO malemice を3 群に分けて比較検討した。第1 群として普通食を与えてPBS を経口投与したもの、第2 群として高脂肪食を与えてPBS を経口投与したもの、第3 群として高脂肪食を与えEC を経口投与したものとした。固定処理した大動脈はナイルレッドで脂質染色し、蛍光実体顕微鏡で観察するとともに、写真撮影して、動脈硬化部位の画像解析を行った。画像解析の結果、EC投与群と非投与群の間には動脈硬化の進行に優位な差は見られなかった。今後は投与期間、投与時期などの条件を変えて検討していく予定である。
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