研究課題
血管内皮細胞特異的IRS1過剰発現マウス(EC-IRS1Tg)を確立した。血管内皮特異的プロモーターには従来から知られているTie-1, Tie-2, eNOS, PECAM-1, P-selectinなどがあげられるがこれらのプロモーターは血球系細胞や平滑筋細胞にも発現することが明らかになっている。申請者は血管内皮発現特異性が非常に高いVE-cadherinプロモーターを使用し、本ベクターにhIRS1遺伝子を組み込み、transgeneを作製した。EC-IRS1Tgから血管内皮細胞primary cultureを行い、インスリンシグナルを確認したところリン酸化Akt、eNOSともにWTにおける血管内皮細胞に比べインスリン無刺激で2倍程度上昇していた。インスリン刺激はリン酸化Akt、eNOSをともに上昇させたが、WTに比してEC-IRS1Tgでは1.5~2倍上昇していた。各組織におけるインスリンに対する反応を検討したところEC-IRS1Tgの左室、大動脈、大腿動脈、筋肉におけるリン酸化AktはWTに比べ1.5~4倍と著明に増加していた。しかしながら脂肪組織では両者間で差は認めなかった。これらマウスを用いて腹腔内ブドウ糖負荷試験、腹腔内インスリン負荷試験を行ったところ、いずれにおいても両者間で有意差は認められなかった。下大静脈よりインスリン(10mU/g)を投与し、腎皮質におけるインスリンシグナルを確認したところEC-IRS1Tgにおけるリン酸化Akt、eNOSは共にWTに比べ1.2~1.3倍増加していた。ストレプトゾトシンにより糖尿病を誘発し、酸化ストレスマーカーとして尿中8-OHdGを計測したところEC-IRS1TgではWTに比べ尿中8-OHdG排泄量は50%近く減少していた。さらに、糖尿病誘発後6か月の腎皮質を用いたwestern blottingにおいてfibronectin、IV型コラーゲンの増加はEC-IRS1TgではWTに比べ30~40%抑制されていた。現在、高脂肪食によるインスリン抵抗性状態でEC-IRS1Tgの解析を進め、糸球体内皮細胞内インスリンシグナルの増強作用が腎保護作用を示すかどうかを検討している。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)
Int Urol Nephrol
巻: 46 ページ: 255-60
PLoS One
巻: 8 ページ: e66759
J Diabetes Res
巻: - ページ: e248563
10.1155/2013/248563
J Diabetes Complications
巻: 27 ページ: 526-530
10.1016/j.jdiacomp.2013.03.003
Circ Res
巻: 113 ページ: 418-427
10.1161/CIRCRESAHA.113.301074
Mol Cell Biol
巻: 33 ページ: 418-427
10.1128/MCB.00506-13