研究概要 |
【研究の目的】胆道閉鎖症モデル(閉塞性黄疸)におけるBT発症の機序解明を目指し、さらに抗炎症作用を有する薬剤投与により病態制御が可能か否かを検討し、胆道閉鎖症における病態増悪の予防に繋げることを目的とする。【研究実施計画】平成24年度:閉塞性黄疸モデルラットの作成・病態解明・閉塞性黄疸モデルラットにおける薬剤(DKT)投与の効果検討 平成25年度以降:閉塞性黄疸モデルラットにおけるBT・肝線維化とDKTによる予防効果に関する機序解明【研究実績と展開】(I)これまでの研究実績(方法)Wistar系雄性ラットを用い、以下の3群(各n=5)に分けた。Group1: Control群、Group2 : BDL群、Group3 : BDL+DKT投与群(300mg/kg/dayを術当日から経口投与)。Group2,3においては、総胆管を結紮後3,7,14日目に犠死させた。(結果)(1) 血液生化学検査では、Group3において、3日目のGPT値、14日目のヒアルロン酸値がGoup2と比較し有意に低値であった。 (2) BT発生率は、Group1では0%, Group2では3,7,14日目いずれの群でも100%であったが、Group3では3日目100%, 7日目20%, 14日目0%と時間依存的に抑制された。(7,14日目でp<0.05)(3) 小腸絨毛数・絨毛高は、Group2では時間依存的に減弱するが、Group3では有意に保たれた(7,14日目でp<0.01)。(4) 肝線維化およびαSMA発現は、Group2では時間依存的に進行するが、Group3では有意に抑制された。(結論)胆道閉鎖症に伴う肝線維化の進行にはBTによるHSCの活性化が関与している可能性があり、DKTは、その両者の抑制することで肝障害を改善することが期待される。(II)これからの展開 閉塞性黄疸モデルラットにおけるDKTによる肝線維化抑制の機序について、ラット肝星細胞を単離することでin vitroでの機序解明を行う。
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