研究課題/領域番号 |
24890158
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
矢崎 亮 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (70635812)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 環境調和 / 触媒 / 化学選択性 |
研究概要 |
現在の有機合成において、目的の化合物を合成する際に、環境に負荷をなるべくかけることなく、効率的でかつ高選択的な合成手法の開発が強く望まれている。中でも天然には存在していないアミノ酸誘導体の効率的な合成法の開発は、創薬化学を初めとして多くの分野で有用であり、これまで多くの研究が行われています。目的とする化合物はある程度自由に合成可能になりつつある一方で、依然としてその多くが、危険な試薬や、廃棄物を多く生成してしまうものであり、環境調和の観点から多くの課題が残されています。以上の背景のもと、本研究課題では、環境調和性に優れたアミノ酸誘導体やそのミメティックス、ペプチド等の合成法や、それらの選択的な官能基化の手法の開発を目的としています。これまで利用されてきた合成法とは異なる手法を用いることで、既存の合成法では困難であったアミノ酸の合成や、廃棄物が多く生じてしまう合成において、よりクリーンな新しい合成手法を提供することで、創薬研究等の発展に寄与できると考えられます。 本年度においては、これまで合成手法の報告例が少なかった、アミノ酸やペプチドのミメティックスとして機能することが知られてるトリフルオロメチル基を有する基質の求核的または、酸化的な導入法の検討を行った。またペプチド等の位置または官能基選択的活性を行うことで、これまで保護基を用いる必要があり、多くの廃棄物を生じてしまうような合成を、保護基を用いること無く、より短行程かつ廃棄物を生じることなく合成する手法の開発に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度においては、これまで合成手法の報告例が少なかった、アミノ酸やペプチドのミメティックスをして機能することが知られてるトリフルオロメチル基を有する基質の求核的、酸化的な導入法の検討を行った。検討の結果、化学両論量の塩基や酸化剤が必要であるものの、トリフルオロエチルアミノ基の官能基化に成功した。今後塩基の触媒化等の検討が必要である。また反応基質の更なる最適化を行うことで、更なる温和な条件化での反応が可能であると考えられる。 また、これまで保護基を用いる必要があり、多くの廃棄物を生じてしまうような合成を、低反応性官能基の触媒的選択的活性を駆使することで、保護基を用いること無く、より直接的に合成する手法の開発に着手した。これまでに単純な基質を用いた検討において良好な結果が得られている。また用いる基質によって最適触媒が異なることを見いだしており、今後網羅的な検討を行うことで、本研究分野における新たな知見を得ることができると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はまずトリフルオロエチルアミノ基の官能基化においては塩基の触媒化や、よりクリーンな酸化剤である酸素等を用いる検討を行う。また不斉触媒を用いることでエナンチオ選択的な反応への展開にも着手する予定である。また反応基質の更なる最適化を行うことでより温和な条件化での反応進行を目指す。 また低反応性官能基の選択的活性化においては、反応条件の更なる最適化を行い、多くの官能基を有する基質一般性の拡大を行うことで、最終的には実際の医薬品の官能基化を行いたいと考えている。また触媒として用いている金属や新たに有機触媒等の網羅的な検討を行う予定である。
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