昨年度に引き続き、アミノ酸合成及びペプチドの官能基化について検討を行った。アミノ酸合成については、種々求核剤とアミノ化試薬の精査を行うことで、一段階にて酸化的アミノ化反応を進行させることに成功した。本反応では通常求核剤として機能するアミンを求電子的に利用することが可能となっており今後様々な反応へと応用可能であると考えられる。本触媒的反応では、既存の手法では適用が困難であった反応性の高い官能基存在下においても目的の反応点を選択的に認識することで、広範な基質一般性を示すことが確認された。しかしながら本アミノ化試薬は事前活性化が必要である点などにおいて改善の余地が残されている。そこで本研究課題の最終目標であるよりクリーンな反応の開発のため、空気(酸素)酸化による直接アミノ化反応の検討を行った。その結果、求核剤のチューニングを行うことで、反応系中にて活性な反応中間体を生成させ、現段階では未だ中程度の収率ながら酸素酸化による直接アミノ化反応を進行させることに成功した。今後はさらなる反応条件の精査が必要である。ペプチドの官能基化反応では、通常その高い反応性のため保護基が必要であるアミノ基を保護すること無く、触媒制御によって水酸基選択的に反応させることに成功した。本反応基質では水酸基の酸素ー水素結合と比較して酸性度の高いアミドの窒素ー水素結合存在下反応が円滑に進行することを確認している。さらに本触媒反応では水酸基の認識だけでなく、求電子剤の化学選択性の発現にも成功した。
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