研究課題
我々は、以前、前立腺癌においてホルモン療法による酸化ストレスがアンドロゲン受容体(androgen receptor, AR) シグナルを活性化し、去勢抵抗性の獲得に寄与することを明らかとした。そこで、酸化ストレスを標的とした前立腺癌治療を開発すべく、前臨床試験として、抗酸化剤を用いた前立腺癌に対する治療効果を検討した。その結果、抗酸化作用を有するある化合物は、前立腺癌細胞の増殖を著明に抑制し、細胞毒性を示すことが明らかとなった。同時に、同様の薬剤濃度では、正常前立腺細胞に対してはほとんど毒性を示さず、前立腺癌治療薬としての可能性があると考えられた(未発表データ)。一方、ホルモン療法によって誘発される酸化ストレスによるARシグナルの活性化のメカニズムについて検討を行った。その結果、ホルモン療法により、酸化ストレスによって活性化されることが知られているProtein kinase C (PKC) のリン酸化の亢進とその下流でTwist1転写因子の発現亢進が関与していることが明らかとなった。また、同時に、ERKとRibosomal S6 kinase (RSK) のリン酸化に伴ったYB-1転写因子の活性化もARの過剰発現に関与しており、これらのシグナル経路がホルモン療法によるAR過剰発現を介した去勢抵抗性の獲得を促進していると考えられた。逆に、これらのシグナル伝達経路を遮断する阻害剤を用いたところ、ARの発現が低下し、前立腺癌細胞増殖が抑制されることが分かった。さらに、ホルモン療法にこれら阻害剤を併用することで、治療効果が増強されることも明らかとなった。以上より、抗酸化剤やこれらシグナル伝達経路阻害剤による前立腺癌治療が有効である可能性が示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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