研究課題
近年、アルツハイマー病や認知症といった学習障害、記憶障害の発症や進行と歯周病との関連性が指摘されている。歯周病の特徴である口腔内での慢性炎症状態(パラインフラメーション)が認知機能低下に多大な影響を与えることが示唆されているものの、こうした病態の発症と進行に関わる機構には不明な点が多い。歯周病モデル動物を確立するため、マウスに歯周病原因菌を局所投与して歯周病を惹起させた結果、下顎歯槽骨の破壊および歯周組織における炎症性サイトカインの発現が確認された。さらに大脳皮質と海馬においても炎症性サイトカインが発現し、その産生細胞はミクログリアであることが確認された。歯周病病原菌のLPSを腹腔内へ投与したところ、学習を評価する行動試験の結果が有意に悪化することが明らかとなり、歯周病病原菌の感染およびその病因因子への暴露が認知機能低下をもたらすことを確認できた。一般に、歯周病時の炎症は歯周病菌に対して食細胞などの免疫担当細胞が歯肉組織で過剰反応することで悪化する。これまでに、マクロファージ等の食細胞の活動は体内時計の制御を受け、日内変動を示すことが明らかとなっている。このような体内時計による食細胞の機能調節が歯周病罹患によりどのような影響を受けるのか明らかにするため、歯周病菌を注入後、歯周組織よりマクロファージを、脳より中枢の免疫担当細胞として知られるミクログリアをそれぞれ回収し、炎症性サイトカイン遺伝子発現レベルを定量した。体内時計を司ると言われている時計遺伝子や炎症性サイトカイン遺伝子の発現量はマクロファージ、ミクログリアにおいて日内変動を示し、歯周病罹患時の歯周組織に局在する食細胞の機能も体内時計による制御を受けている可能性が示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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