本研究の目的は、認知症高齢者の介護者を対象として、介護の肯定的認識を活用して、認知症高齢者の在宅介護者への支援プログラムを開発することである。 平成25年度は、認知症高齢者を在宅介護している家族介護者で研究同意が得られた21名を対象者として、対照群を設置しない非ランダム化前後比較デザインを用いて、介護の肯定的認識を活用したリーフレットを用いた介入を行い、介入前、介入後、介入1ヵ月後、介入2ヵ月後に調査を行った。研究同意を得た中で入院や施設入所により脱落した対象者は7名であり、研究に最後まで参加した14名を分析対象者とした。 本研究の結果、介入後に介護の肯定的認識が向上した対象者群9名の分析では、調査期間中の肯定的認識の変化に統計的な有意差が認められた。介護支援専門員による説明はリーフレットの活用につながり、日々の介護を行う中で肯定的認識を自覚する機会が得られた結果が示唆された。また、統計的な有意差は認められなかったが介護者の介護負担感の一時的な軽減にも繋がると考えられる。今後の課題として、継続的な支援方法と有効な支援時期の検討も必要であるが、介護の肯定的認識を活用した支援は、認知症高齢者の在宅介護者への支援プログラムとして有用性が期待できると考える。
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