前年度に引き続き、口唇小唾液腺生検にて得られた唾液腺細胞を培養し、microRNA(miRNA)を含むtotalRNAの抽出を行った。その後、唾液腺に50個以上の単核球の浸潤を認めず、Sjogren症候群(SS)の診断基準を満たさなかった1例をcontrolとし、SS患者群(5例)とcontrolでのmiRNAの発現の変動を検討した。結果は以下のとおりである。 1)mir-181bはSS5例すべてにおいてcontrolと比べ発現の上昇を認めた。 2) mir-30cはSS3例で発現上昇していたが、2例では発現が減少していた。3) miR-431はSS1例で発現減少し、残り4例で発現上昇していた。4) miR-4750は3例で発現減少し、1例で発現上昇していた。 さらに、すべての群で発現が減少していたmiR-181bについて、SSの病態に関与している分子の刺激による変動を検討した。SS病態に関与している因子としてIFN-を選択し、刺激をおこなった。IFN-刺激によりmiR-181bの発現は抑制された。 本研究により、SSにて発現変動のみられたmiRNAを同定することができた。本研究で明らかとなったSSで異常制御されているmiRNA(miR-181b)がSSの病態に関与している可能性は高い。今後も症例の集積を進め、多数症例での発現を検討し、発現変動を確認した後に、miR-181b異常発現の唾液腺細胞におよぼす影響の機能解析やmIR-181bの標的mRNAの解析を進めていく。
|