研究概要 |
口腔外科領域において、骨の再生はますます重要である。現在、確実で有効な方法は新鮮自家骨移植だが欠点もある。本研究では、従来の骨移植材料に遺伝子を組み込むことで骨形成能を向上させた骨再生材料の開発をめざし、Minicircle DNAとナノ粒子リン酸カルシウムとを複合し、これらを高分子足場材料に組み込んだGene Activated Matrix(GAM)の開発を目的としてきた。平成24~25年度の研究活動では安全かつ遺伝子導入の効率を高めるためMinicircle DNAを用い、このplasmidの産生に成功し、従来のplasmidに比して導入効率が高いことを、エレクトロポーション法を用いたin vitroにおけるGFPの発現で確認した。さらにGFP遺伝子を組み込んだMinicircle DNA・リン酸カルシウム顆粒/コラーゲン複合体を作製し、ラットに移植するBioassayを行った。しかしGFPの発現は不十分だった。この間、申請者らはリン酸カルシウムを従来よりも簡便に微小化(ナノ-サブミクロンパーティクル)することに成功し、かつその骨伝導性に関する新たな知見(K Miura , et al. Applied Surface Science. 2013)ならびにリン酸カルシウム系骨再生材料による再生骨の知見(A Matsui , et al. Cleft Palate-Craniofacl J, 2013 in press)を報告してきた。今後は、単一ナノパーティクル化したリン酸カルシウムを用い、エンドサイトーシスを惹起しやすくし、GAMの遺伝子導入効率をさらに高める。さらにヒトMSCにin vitroで種々の遺伝子導入を行い、骨芽細胞への分化能を評価し、得られた結果より高機能改良型GAMを作製し、ラットを用いて高機能改良型GAMの性能を評価する。
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