研究課題
本研究では、前年度に引き続いて口腔扁平上皮癌(OSCC)における幹細胞関連分子ヌクレオステミン(NS)の機能解析と治療法開発について実験を進めた。これまでに、NSの発現量がOSCCの増殖、浸潤と関わっている可能性をOSCC細胞株および臨床検体を用いた免疫組織化学染色による解析で明らかにしてきた。したがって、本年度はその分子基盤の解明と治療応用に向けたNS自体の発現制御機構解明に努めた。NSがどのような分子ネットワークでOSCCの増殖能、浸潤能を制御しているかを、種々のNS高発現あるいは低発現OSCC細胞株を用いて検討した。その結果、STAT3のリン酸化がNSの発現量と非常に良く相関することを見出した。また、その下流でCCND1やMMP-7といった細胞の増殖、浸潤に重要な分子の発現も変化しているという結果を得た。更に、組織検体においてこれら分子の発現が良く相関していることも分かった。このことから、NSがSTAT3リン酸化を介してOSCCの悪性形質を制御していることが示された。NS自身の発現制御機構を解明するために、低酸素や低栄養など種々の条件で培養を行ったが、有意な結果を得るには至らなかった。特定の転写因子が発現制御に関わる可能性も模索しているが現在まで結論を得るには至っていない。上記の研究成果は、国際顎顔面外科学会で発表し現地で一定の評価を受けた。また、本研究期間中に見出したNSを中心としたOSCC悪性形質制御機構について、現在海外の英文雑誌の投稿中である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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