1.他の5-FU耐性株におけるIAP family発現および耐性への関与の確認:既に報告を行った5-FU耐性株の他に樹立した5-FU耐性口腔扁平上皮癌細胞株であるCa9/FRにおいてIAP群の有意な発現上昇認められなかった。以上の結果は昨年度の第71回日本癌学会学術総会にて発表した。 2.cIAP2発現上昇による5-FU耐性獲得ならびにCDDP交差耐性獲得:以前より確認していた5-FU耐性株のCDDPとの交差耐性について、IAP高発現細胞株を樹立し、IAP群との関連を調べた結果、cIAP1ならびにcIAP2強制発現細胞において5-FUならびにCDDPへの有意な感受性低下を認めた。また、その機序としてアポトーシス抑制が挙げられた。以上の結果は昨年度の第71回日本癌学会学術総会、17thWorld Congress on Advances in Oncologyにて発表した。 3.マイクロアレイ解析による新規耐性因子の網羅的検索:以前解析した2つの5-FU耐性口腔扁平上皮癌細胞株とそれぞれの親株のmicroRNAアレイの結果を再検討した結果、共通して発現上昇しているmiRNAを発見した。この因子は、細胞周期制御に関わっており、分裂期への移行阻止による剤耐獲得の可能性が示唆された。以上の結果は本年度の第72回日本癌学会学術総会にて発表予定である。 4.CDDP耐性株のマイクロアレイ解析:以前樹立したCDDP耐性口腔扁平上皮癌細胞株を用いたマイクロアレイ解析の結果、以前報告を行った5-FU耐性関連因子であるcIAP2の有意な発現上昇を認め、CDDP耐性機序としてのCaspase活性抑制ならびにアポトーシス抑制を確認し、また、cIAP2の発現を抑制したCDDP耐性株において有意な感受性上昇を認めた。以上の結果は本年度の第37回日本頭頸部癌学会、第72回日本癌学会学術総会にて発表予定である。
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