研究概要 |
慢性移植片対宿主病(以下cGVHD)患者末梢血中におけるCD4陽性調節性T細胞(Regulatory T cell以下Treg)とnon-TregであるCD4 conventional T cell (以下Tcon)でのアポトーシスにおけるプロファイリング(BH3 profiling)を行うことが本研究の目的である.当該年度においては,まずフローサイトメトリーによりTregとTconの細胞集団を同定した.すなわち末梢血CD4陽性細胞のうち,TregはCD4+ CD25medium-high CD127lowであり,TconはCD4+CD25negative-low CD127medium-highと2つの集団に分かれ,これら2つの細胞集団ではTregはFoxp3が陽性,Tconは陰性であった.次にこの2つの細胞集団におけるBH3 profilingを行うため,上述した表面抗原に対する蛍光色素標識抗体でTregおよびTconを区別した後,JC-1色素を用いてミトコンドリアの膜電位変化を各BH3ペプチド投与時で検討した.その結果,Puma 100uM,Bmf 100uMペプチド投与時にTconよりTregにおいてprimingされていた.次にミトコンドリアの膜電位変化を検出できるTMRE色素によるTregおよびTconのBH3 profilingをpeptideを減量して検討した.その結果,JC-1で検討した時と同様にPuma 10uM, Bmf 10uMのペプチド投与においてTconよりTregの方がprimingされており,他のペプチド投与時もJC-1の結果と同様のパターンであった.以上よりTMREによるBH3 profilingは,TregおよびTconのアポトーシスのパターンを検出するのに有用である可能性が示唆された.
|