研究課題/領域番号 |
24890184
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
根本 紀子 福島県立医科大学, 看護学部, 助教 (40637055)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 胃切除術後患者 / 食物摂取量 / 消化器症状 / 気分 |
研究概要 |
本研究は、退院後早期の胃切除術後患者を対象に、食生活の変化の実態と特徴を明らかにし、食事摂取方法の確立に向けた支援方法の構築と栄養状態の改善を図るための看護師の役割について示唆を得ることを目的としている。食生活は、食物摂取量、消化器症状、気分の側面からとらえ、食物摂取量は、3日間の摂取品目とその分量を患者または家族が記入し、消化器症状はGSRS、気分はDAMSを用い、自記式質問紙にて調査を実施する。食物摂取量、消化器症状、気分を経時的に調査し、患者の取り組みを阻害する時期や因子を明らかにすることで、患者の自己管理行動を計画的に支援し適切な時期を逃さず必要な支援システムを構築することができるための看護の示唆を得ることができると考える。調査内容は、研究者がこれまで行ってきた胃切除術後患者の研究成果を基にしているが、基本属性や食物摂取量、消化器症状、気分の3項目につて、胃癌治療に長年携わってきた専門医、栄養学に精通した看護師とともに調査方法について再考を重ね、質問紙の検討を行った。また、作成した質問紙について、胃切除術後1年以上経過した患者を対象にプレテストを実施した。調査回数は、入院時、退院時、退院後2週間、退院後1ヶ月、退院後2カ月、退院後3カ月の計6回を経時的に調査する方法をとっている。 調査に不可欠な体組成計はTANITA製周波数体組成計を必要機材として購入し、機材等によるデータ変動の有無について連日の確認を行い、数値に誤差がないことを確認した。また、研究者の所属施設、データ収集施設における倫理審査委員会の承認を得るとともに、調査施設での研究強力者と何度も打ち合わせを重ねた後に調査を開始した。今後は、調査を進めながらデータを蓄積し、胃切除述術後患者の食生活の特徴について分析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
胃切除術後患者の食生活を食物摂取量、消化器症状、気分の側面からとらえ、入院時、退院時、退院後2週間、1カ月、2カ月、3カ月を経時的に調査することで、退院後の胃切除術後患者の食生活の変化の実態と特徴を明らかにし、食事摂取方法の確立に向けた支援方法の構築と栄養状態の向上を図るための看護師の役割について示唆することを目的に調査を開始ししている。 当初の計画では、現時点での胃切除術後患者の食生活の変化の特徴を明らかにすることが可能であると考えていた。しかし、調査項目や調査内容(食物摂取状況、消化器症状、気分)の検討、体組成計の正確性およびデータの誤差を確認したうえで調査を開始することは必要不可欠であったため、調査時期をずらす結果となった。使用する調査用紙および体組成計(TANITA製周波数体組成計)について使用上の問題や調査に修正をきたすようなことはないことが明らかとなったが、調査を開始するにあたり上記理由に時間を要したことで、現時点での達成度はやや遅れていると考える。 研究者の所属施設、データ収集施設における倫理審査委員会の承認を得るとともに、調査施設での研究強力者と何度も打ち合わせを重ねたことで、調査協力体制がより強くなり今後はさらなるデータの蓄積が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
胃切除術後患者の食生活を食物摂取量、消化器症状、気分の側面からとらえ、入院時、退院時、退院後2週間、1カ月、2カ月、3カ月を経時的に調査することで、退院後の胃切除術後患者の食生活の変化の実態と特徴を明らかにし、食事摂取方法の確立に向けた支援方法の構築と栄養状態の向上を図るための看護師の役割について示唆することを目的に調査を開始ししている。現時点では、データの蓄積が不十分であるが、今後はデータ数の増加が期待できる。しかし、万一研究目的が達成できないと判断した場合には対象施設を増やすことも検討する可能性があると考える。 今後は、さならるデータを蓄積するととともに、得られた結果を基にして、退院早期の胃切除術後患者に対し食物摂取量、消化器症状、気分の経時的変化の実態を明らかにするためのデータ分析を行う。さらに、胃切除術後患者の自己管理行動を阻害する時期や因子を検討することで、退院後早期の胃切除術後患者に対し、適切な介入時期を逃さず、より細やかな支援方法の開発につなげるための方策を見出すことができると考える。これらを踏まえたうえで、学会発表を行う予定である。
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