本研究の目的は、退院後早期の胃切除術後患者を対象に、食生活の変化の実態と特徴を明らかにし、食事摂取方法の確立に向けた支援方法の構築と栄養状態の改善を図るための看護師の役割について示唆を得ることである。 胃がんで胃切除術を受ける予定の患者に研究目的や方法、倫理的配慮に関する説明を行い同意が得られた患者10名に対し、入院時から退院後3ヶ月の食物摂取量、消化器症状、気分を経時的に計6回(I期~VI期)調査した。対象者10名のうち、途中研究協力辞退者は1名、治療内容の変更により研究継続が不可能となった者1名を除外し、計8名を対象とした。食物摂取量は連続3日間の食事記録法を用いて平均摂取エネルギー量を算出した。結果、食物摂取量は入院時より減少しており、摂取エネルギーは退院後3ヶ月を経過しても手術前の1/3程度であった。また、体重および体脂肪は、退院から3ヶ月間の間減少し続けており、特に高齢者の体重減少率が大きかった。消化器症状は、II期から「逆流」の症状が最も多く出現していた。II期・III期では「下痢」「便秘」、IV期では「げっぷ」が多く出現していた。気分は、III期・IV期の「不安気分」得点が最も高かった。以上の結果から、食物摂取量が増加しない患者は退院後3ヶ月を経過しても体重が増加せず不安気分も高値であることが明らかとなった。胃切除術後患者の食物摂取量を丁寧に確認し、退院後の時期を考慮した細やかな外来看護支援の必要性が示唆された。
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