研究課題/領域番号 |
24890185
|
研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
市川 佳子(松本佳子) 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (30277892)
|
研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
キーワード | 心的外傷 / 集団精神療法 / 女性 |
研究概要 |
本研究は、精神科病棟において傷ついた女性どうしが集った「娘グループ」と、現在も引き続き行われている「レディースグループ」での語りの中で、メンバーの「心的外傷」-特に深刻な性的外傷の在りよう-が、女性同士の互いのつながりにどのように影響していたのかを明らかにし、グループプロセスの中で、メンバーの「レジリエンス(回復力)」がどのように発揮されていたのかに着目し、レジリエンスを高めるファクターについて明らかにするものである。 今年度は、当初の研究実施計画どおり、既存の「娘グループ」のデータ分析を行うとともに、研究対象の所属する病棟にフィールドワークに出向いた。そして、現在行われている「レディースグループ」のデータ収集を主に行うと同時に、研究協力者とともに、「レディースグループ」のデータ分析を行った。 「娘グループ」と「レディースグループ」の参加メンバーはほぼ同じだが、あるひとりの女性患者の父親の死という出来事をきっかけに、新たなメンバー間の結びつきが生まれ、育まれているところである。 また同時に、もうひとりの女性患者は、退院をめざし、グループホームへの試験外泊を繰り返しているところであるが、その環境変化によって彼女自身が動揺し、それが「レディースグループ」全体に影響を及ぼしている現状である。しかし、先に述べた新たな結びつきによって、互いに互いをサポートしあうような関係性が芽生え、その関係性の発展がレジリエンスにどのようにかかわりあってくるか、今後、分析をすすめる予定である。 さらに、この二人のつながりを軸に、グループプロセスがどのように展開していくのか、引き続きデータ収集しつつ、分析作業を行っていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画どおり、平成24年度は、筆者が研究協力者と綿密に連携をとり、「レディースグループ」のプロセスに継続的にかかわり、グループの中で何が起こり、どう展開していったのか、そのプロセスについての分析を毎週グループが行われるごとに繰り返し、グループのダイナミクスを多面的な角度から再構成している。さらに、グループで語られたことの解釈や病棟で起きている事象との関連などについて分析を試み、変化の過程に注目しつつ、その過程に影響を及ぼしていると考えられる要因についても検討し、内容理解を深めると同時に、次の回の「レディースグループ」のかかわりに生かして妥当性を確かめるようにしている。このように、おおむねデータ収集は順調に展開しており、データ分析についても同様である。
|
今後の研究の推進方策 |
「娘グループ」及び「レディースグループ」で得られた全てのデータを突き合わせ、最終的に「心的外傷」と「レジリエンス」の視点から分析し、心的外傷のありようが女性同士の互いのつながりにいかに影響していたのかに着目し、彼女らのレジリエンスを高めるファクターを明らかにする。
|