研究概要 |
本研究では,研究協力者の横浜市立大学医学部・附属病院教員2名および横浜市立大学医学研 究科大学院生1名による協力のもと,『AT1 受容体情報伝達系の病的刺激による過剰活性化に対す る内在性抑制機序を担う受容体結合分子』として機能している可能性がある ATRAP に着目して, 以下の検討を行った.(1) 発生工学的手法を用いた全身性・血管特異的 ATRAP 過剰発現モデルおよ び ATRAP 欠損モデルでの動脈硬化の病態の検討,(2) 重症動脈硬化症に対する LDL アフェレシス 療法による長期的動脈硬化改善の分子機序への ATRAP の関与についての検討. (1) 発生工学的手法を用いた全身性・血管特異的ATRAP過剰発現モデルおよびATRAP欠損モデル での動脈硬化病態の検討では,まず,gain-of-function strategy として,作製済みの全身性 ATRAP 高発現マウス,および現在 作成中の血管平滑筋特異的 ATRAP 高発現マウスを用いる.また,gene targeting 法を用いて ATRAP の機能上重要なエクソン 3, 4, 5 を欠失させることにより 全身性ATRAP欠損マウスを作製した.発生工学的ATRAP発現制御マウスを用いて, 圧負荷,Ang II 負荷,高食塩食負荷,高脂肪食負荷,カフによる血管障害負荷などの病的刺激を 加え,動脈硬化性病変の発症・進展に与える影響について検討した. (2) 重症動脈硬化症に対する LDL アフェレシス療法による長期的動脈硬化改善の分子機序への ATRAP の関与についての検討では,対象を維持血液透析中の従来治療抵抗性閉塞性動脈硬化症患者に限定した上 で,デキストラン硫酸カラムを用いた LDL アフェレシスによる長期的な治療効果について血管機能 を中心に解析した.
|