平成25年度は、海馬におけるアポトーシスの増加に対する、エリスロポエチンの予防的作用の検討と、マンニトール併用投与によるエリスロポエチンの脳神経細胞内への取り込み増加と神経保護作用の増強を検討するために、過年度に作成した生後7日齢のWistarラットを用いたイソフルレン・笑気麻酔モデルについて、引き続き検討を行った。 麻酔は、恒温槽およびカプノグラムおよび直腸用温度センサーを用い、酸素 2L・笑気 4L・イソフルラン 0.95%の混合ガスで灌流し、自発呼吸下で 6 時間曝露させた。これらのラットについて、麻酔中の酸素飽和度測定を行ったが、酸素飽和度は比較的よく保たれていた。麻酔開始から、2時間ごとに、断頭採血によって動脈血ガス分析を行ったところ、二酸化炭素濃度が比較的上昇していることが判明したため、二酸化炭素負荷によるコントロール群の作成を検討中である。 麻酔終了後に作成した前頭葉皮質および海馬の凍結検体を採取済みである。これらの検体についての、ELISA法およびウェスタンブロッティング法を用いて、細胞保護にかかわるEpo/Epo-R/HSP27の定量と、細胞傷害のマーカーであるCaspase3の半定量を実施中である。また、作成した海馬標本の冠状断薄切片のTUNEL染色は、イメージングまで行っているが、データについては解析中である。 麻酔曝露後3週間後のラットに対して、抑制性回避学習試験(Inhibitory Avoidance test)などの行動学的検討を行ったが、有意な結果は得られなかった。
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