研究課題/領域番号 |
24890192
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研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
松本 尚子 三重県立看護大学, 看護学部, 講師 (40454376)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 褥瘡 / フィブロネクチン / 創傷治癒過程 |
研究概要 |
研究の同意が得られた対象者から、分析対象としている褥瘡創面に使用されていたガーゼを回収した。対象者の選択基準として、①皮膚潰瘍を伴う褥瘡を発症し治療目的で入院した患者。②ベッド上生活が主で自力で寝返りすることが困難な方。③褥瘡創面の状態が壊死組織がなく、深さが皮下組織まで損傷(NPUAPの深達分類でいうステージIII~IV)している方。④組織糖尿病を併発していない方とした。対象者の褥瘡に関連する要因となる情報は、診療録より、作成したデータシートの項目に沿って情報を得た。看護ケア内容の情報は、ガーゼ採取時に、研究者が、対象者に行われている看護ケアを観察して記載し、情報を得た。これまでに、褥瘡創面に使用されていたガーゼを回収した対象者数は10名である。 回収したガーゼから、試料となるタンパク質を抽出し、ウェスタンブロット法を用いてフィブロネクチン(fiburonectin、以下FN)の検出を行っている段階である。FNを検出するために使用する抗FN抗体は、数種類あったことから、抗FN抗体の検出状況を確認し、使用する抗体を絞り込んだ。今回は、数種類の抗FN抗体から4つに絞り、分析に使用することとした。 これまでの分析結果から、2つのことが明らかになっている。1つ目は、対象者の褥瘡創面によって抗FN抗体の検出状態に違いがあること。2つ目は、1週間毎にガーゼ回収を行った対象者の初回から最終日までの期間、抗FN抗体の分解状態が変化をしていることである。つまり、褥瘡創面の肉芽組織の状態や治癒過程に沿って、FNの分解状態が変化していることが予測される。このことは、褥瘡の治癒過程に、FNがなんらかの形で関与しているのではないかと推察される。今後も継続して分析を行い、褥瘡の治癒過程と関連しているか検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象者10名のうち、6名分の抗FN抗体の検出を終えているが、4名分の分析に着手していない。このことは、数種類の抗FN抗体から、FNの検出状態を確認し、使用可能な抗FN抗体の絞り込みを行っていたこと。分析対象者の中には、初回のガーゼ回収から退院までの期間、1週間毎にガーゼの回収行ったことから、1人の対象者あたり、サンプル数が5~7個となり、分析するサンプル総数が40サンプルになったためである。 現在は、使用する抗FN抗体を4つに絞りこんでおり、継続して分析を進めることができる状態である。今後は、4名分の分析を行い、分析結果と褥瘡創面の肉芽組織状態との関連を検討していく計画である。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに、抗FN抗体の検出するための実験条件を整えることができている。今後は、分析に着手していない対象者4名分の分析を早急に行い、抗FN抗体の検出状態、経時的変化を確認する。その後、抗FN抗体の検出結果と褥瘡創面の肉芽組織の状態、褥瘡の治癒過程の段階と関連しているか検討する。褥瘡創面の肉芽組織の状態と治癒過程においていは皮膚科医の助言を受ける。また、実施されていた看護ケア内容との関係も検討し、褥瘡創面を判断する材料となり、看護ケアに活かし判断指標となり得るかの検討を行う計画である。
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