研究課題/領域番号 |
24890197
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
建部 陽嗣 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00637027)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / αシヌクレイン / オリゴマー / オートファジー |
研究概要 |
本研究の目的は、パーキンソン病(PD)に特徴的な病理所見であるLewy小体の主要な構成成分であるα-シヌクレイン(α-syn)蛋白について、未だ解明されていない神経毒性を有する可溶性α-syn オリゴマーの構造及び伝播様式とその分解過程を明らかする。さらに、PD 患者における細胞外液中のα-synの構造をPD診断バイオマーカーおよび治療標的として臨床応用するための研究基盤を確立することである。 今年度は、精製したα-syn蛋白から高分子α-synを作成し、原子間力顕微鏡にてその構造を視覚的に確認した。また、作成した高分子α-synの分解過程を、培養細胞系を用いて検討した。特に、α-syn封入体の分解に焦点を当てた。 方法として、高分子α-synをHEK293細胞に形質導入し、細胞内のα-syn封入体の分解を、オートファジーマーカーであるp62、LC3などを用いて検討した。 結果は、1)α-syn封入体は、リン酸化およびユビキチン化されていた。2)α-syn封入体は、アダプター蛋白であるp62/SQSTM1(p62)で取り囲まれており、オートファジー・リソソーム系が働いていた。3)リン酸化α-syn陽性封入体はLC3とmergeしており、オートファゴソームへの取り込みが確認された。4)リン酸化α-syn陽性封入体は24時間で分解され、その分解はバフィロマイシンA1の投与によって減少した。4)Atg5をノックダウンすると、α-syn封入体のオートファゴソームへの取り込み減少が見られ、α-syn封入体のオートファジー分解はp62依存的であった。5) ミトコンドリアのクリアランスに、α-syn封入体の影響は無かった。以上より、α-syn封入体の分解にはp62依存的オートファジーが関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画である高分子α-synucleinを安定的に作成することができ、その分解系について検討し、論文作成にまで至っている。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞を用いて、毒性のあるα-synucleinオリゴマーを同定する。また、ヒトサンプル(髄液、血漿など)による細胞外α-synucleinの構造を同定する。
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