研究課題
歯周病の進行に伴う歯槽骨吸収は、歯牙の喪失につながり、患者のQOLやADLを著しく低下させる。自己骨芽細胞を、この骨吸収局所に効率よく供給することが出来るならば、歯槽骨の再生につながり、歯牙の喪失を回避させられる可能性がある。現在自己骨芽細胞を作出する方法としては、骨髄由来間葉系幹細胞から誘導する方法があり、外傷や骨肉腫切除後の骨欠損に対してはすでに臨床応用されているが、細胞採取に伴って大きな侵襲があること、得られる細胞の数が不十分であるなどの問題がある。そこで本研究では、細胞採取が容易でかつ採取における侵襲性が少なく、細胞培養も簡易である体細胞から骨芽細胞を誘導する方法を樹立することを目的とし、さらに得られた細胞の性状を評価した。その結果、ヒトの体細胞から高い効率で、アルカリフォスファターゼおよびオステオカルシン陽性の細胞を誘導することに成功した。この細胞は骨芽細胞関連遺伝子群を強力に発現し、骨芽細胞様の性状は免疫染色、アリザリン染色ならびにvon Kossa染色によっても認められた。網羅的遺伝子発現解析でも、骨芽細胞に類似した遺伝子発現パターンが確認された。またこの細胞を、動物の人為的骨欠損部に移植した結果、骨欠損部位の再生が促進した。さらに動物の精巣皮膜下に移植した際に、腫瘍化は認めず、かつ移植部位への石灰化物質の存在を認めた。本研究の結果から、本技術が歯周病に伴う歯槽骨吸収に対して、新しい再生医療をもたらす可能性が示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 産業財産権 (2件)
Archives of Oral Biology
巻: 58 ページ: 880-886
10.1016/j.archoralbio.2013.01.005.
Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology
巻: 25 ページ: 374-388
10.1016/j.ajoms.2013.02.014