わが国における糖尿病は増加傾向にある。糖尿病の重症合併症の予防、QOLの低下を防ぐためには、良好な血糖コントロールを目指したセルフマネジメントが必要である。糖尿病の疾病の開示、非開示の選択はセルフマネジメント行動に影響する要因の一つとして重要と考える。しかしながら、わが国には、糖尿病の開示、非開示に着目した研究は少なく、その意思決定の実態や影響因子、患者の満足との関連は明らかではない。 本研究は、わが国の糖尿病患者の疾病開示・非開示の意思決定の実態と疾病の開示・非開示に影響する個人的な差異や満足感、血糖コントロール状態(HbA1c値)等との関連を明らかにすることを目的とする。それらを明らかにし、今後の糖尿病の開示・非開示の意思決定に関する看護支援プログラムの開発に向けた基礎的資料とする。本研究は所属大学の倫理審査委員会の承認を得て実施した。20歳~65歳の外来通院中の糖尿病患者120名を対象に質問紙調査を行った。質問調査内容は人口統計学的変数(年齢、性別、職業、同居家族数、配偶者の有無)、身長、体重、糖尿病の開示に関する質問項目(リッカート尺度)等である。また、診療録より、患者特性(糖尿病の種類、罹病年数、合併症の有無、治療内容)、HbA1c値(研究依頼時)のデータを収集した。質問紙の回答を得点化し、統計的に分析した。研究結果・分析・考察の詳細については研究成果報告書にて報告する。 今後、この研究結果に基づき、糖尿病の開示・非開示に関する意思決定支援プログラムの開発にむけて、さらなる研究の展開を進めていく予定である。
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