膀胱癌に高頻度に生じる遺伝子変化として、第9、17染色体の欠失およびFGFR3遺伝子の点突然変異が挙げられる。本研究では膀胱癌患者尿から上記遺伝子変化の高感度な検出法を確立し、臨床的有用性を検討した。遺伝子変化はパイロシークエンス法を用いて定量した。膀胱癌組織116例を対象とした検討では、上記遺伝子変化は99症例に認めた。同症例尿では87例に遺伝子変化を認めた。一方、20症例の健常者尿にこれらの遺伝子変化を認めなかった。すなわち本定量系を用いることで感度75.0%、特異度100%の精度で尿からの膀胱癌診断が可能であった。尿細胞診では同症例尿での検出感度は44.0%であった。これらの結果より、本定量系は尿から膀胱癌を診断する優れたツールになり得ることが示唆された。
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