本研究の目的は、特定保健指導に焦点を当て、対象者の目標達成を目指す保健師と対象者の協働的パートナーシップの特徴である“状況に応じて柔軟に変化する関係性”をふまえ、特定保健指導の実践のなかから、具体的な関係形成技術を明らかにすることである。その結果から保健指導に従事する看護職者が活用できる関係形成技術を盛り込んだ「効果的な特定保健指導を実現する関係形成のためのガイドラインの開発」を目指すものである。 平成24年度に作成した理論的枠組みを活用し、調査を行った。研究を進める過程で、保健指導従事者からの反応等から、研究者が過去に行った研究を基盤に保健指導従事者を対象としたものとして、調査方法を再検討し、インタビューガイドを作成した。本学の看護研究倫理審査委員会に承認を受けた後、特定保健指導を実施している保健医療機関の保健指導部門責任者に文書および口頭で研究の目的・意義・方法・倫理的配慮について説明を行った。承諾を得られた施設より、研究者が研究協力候補者に直接連絡をとり、研究参加への意思確認を行った。研究参加に同意が得られた研究対象者について、研究者が作成したインタビューガイドを活用して、70分程度の半構成的面接法によるインタビュー調査を行った。また可能な限り、特定保健指導に使用している物品や教材を見せていただいた。データ分析の結果から、保健指導に従事する看護職者は、保健指導対象者とのやりとりのなかで、自身も保健指導対象者も互いの力が出し合えるよう、対象者の様子を敏感に感じ取りながら、対象者の主体性が保つことのできる距離をはかって、目標達成に向けた保健指導に取り組んでいた。そのなかから、保健師の活用している具体的な方略が抽出された。その結果から、保健指導に従事する看護職者が活用できる関係形成技術を盛り込んだ、ガイドライン(第一案)を作成に取り組んでいる。
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