研究課題
無菌性の炎症を制御する分子複合体であるインフラマソームはカスパーゼ1の活性化により炎症性サイトカインIL-1betaの産生を制御する。インフラマソームはさまざまな脂質分子や結晶を危険シグナルとして認識し、 炎症の起点となることで代謝性疾患の発症に関わることが明らかになってきた。本研究はインフラマソームの活性を制御する新規の経路を見出すことで、 インフラマソームの制御をメタボリックシンドローム治療へ応用することを目的として行なった。本研究ではインフラマソームの活性を制御しうる新たな経路としてカスパーゼ1のホモログであるCOPsと呼ばれる分子群に着目した。COPsは齧歯類には存在せず、ヒトなど霊長類では認められる遺伝子群であり、その機能は不明な点が多く残されていた。COPsのヒト末梢血単核球における発現遺伝子発現の解析を行なった所、カスパーゼ1と類似した発現制御を受け、血球細胞に発現するCOPsとしてCARD16とCARD17を見出した。さらにこれら分子のインフラマソーム活性調節における役割の解析を行なった所、 CARD17はインフラマソームの活性化を抑制する作用を持つ一方、CARD16はカスパーゼ1の活性化を引き起こすことを明らかにした。また、その分子機序の解析の結果、CARD16はCARD17と異なり、多量体形成能を持つことでカスパーゼ1の集合を促進し、その活性化を引き起こすことが明らかになった。今後、これらのCOPsの個体レベルでの炎症制御における役割を明らかにすることにより、生活習慣病の予防、および治療へと役立てることができると期待している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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FEBS Open Bio
巻: 5 ページ: 348-356
10.1016/j.fob.2015.04.011