非血縁者間臍帯血移植5例およびHLA適合非血縁者間骨髄移植9例の移植後検体を経時的に数ポイント採取し、また健常人3名の検体も採取して、それぞれのgenomic DNAを抽出し、high-throughput sequencingを用いた包括的なT細胞受容体β鎖遺伝子再構成の解析を行った。T細胞受容体β鎖のCDR3 regionに関するsequenceをすべて同定し、各クローンの同定およびその定量を行った。またT細胞レパトワのdiversityは各遺伝子座の利用および同一sequenceを持つ各T細胞クローンの数を考慮できる、Entropyと呼ばれる指標を用いて数値化した。胸腺でのT細胞受容体の遺伝子再構成時にgenomic DNAから切り出され細胞内に残存する環状DNA・TRECの定量も同時に行った。Entropyの値は、非血縁者間臍帯血移植群で中央値7.0、HLA適合非血縁者間骨髄移植群で8.1であり、両群間に有意差は認められなかった(P = 0.317)。一方、健常者の中央値は14.4であり、その値はそれぞれの移植群より有意に高かった。これらの結果は、非血縁者間臍帯血移植後のT細胞免疫再構築は、過去の報告と異なりHLA適合非血縁者間骨髄移植と比較して決して劣らないことを示している。個々の症例における経時的なT細胞クローンの変化や、免疫再構築が移植後の感染症や原疾患再発に及ぼす影響に関しては、今後、解析を追加する予定である。
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