研究課題/領域番号 |
24890233
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
平井 崇久 順天堂大学, 医学部, 助教 (30626669)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 放射線増感 / マウス脳転移モデル / PARP阻害剤 / ガンマ線 / X線 / 炭素線 |
研究概要 |
転移性脳腫瘍(脳転移)は担癌患者の約10%と高頻度に発生する。多くの場合脳転移が最重要な予後因子となり、治療成績を向上させる放射線増感剤の実用化の意義は大きい。近年開発の目覚ましい分子標的治療薬は、新たな放射線増感剤として期待されるが、放射線増感候補薬剤を効率的に評価するための動物モデルの確立は未だなされていない。ヌードマウスの脳内へルシフェラーゼ発現ベクターを導入したヒトがん細胞株の注入を行い、マウス脳内にできた腫瘍へ放射線照射と放射線増感の候補薬剤の組合せによる効果を観察することが本研究のコンセプトである。 平成24年度は、脳転移モデル作成のため前段階の実験としてマウス脳転移モデルの作成に向け注入部位や注入量を検討し決定した。現在、脳内刺入部位での細胞生着率向上のための条件検討を進めている。 また、マウス頭部への放射線照射による死因として知られる口腔死を起こさないための照射方法を検討し、頭部側方からの照射と遮蔽法により生存率を下げずにマウスの頭部を照射可能となる条件を決定した。 さらに、放射線増感候補薬剤やマウスへ注入する細胞株の選定を行い、放射線照射と増感候補薬剤併用によるがん細胞致死効果の増強とその機構の解析と同時に、今年度の動物モデルでの検証のための照射条件の最適化の検討を進めている。 また今後、X線やγ線によって得られた知見を基に炭素線などの粒子線での放射線効果に関しても検討予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳転移モデルの検討をやや遅れているが、放射線増感剤候補薬剤の選定や細胞レベルでの検討は進んでいる。また、平成24年度より、放射線医学研究所HIMACにて炭素線照射実験と共に陽子線照射実験を順調に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在の一番の問題は、脳転移モデルの細胞生着率が低い点であり、これは細胞株の種類も含め、条件検討を重ねる必要があると考えている。現在いくつかの放射線増感薬剤の細胞レベルでの検討を開始しており、もしも脳転移モデルが間に合わない場合は、既成のモデルである皮下移植モデルでの検討により、現在の候補薬剤の放射線増感効果判定を行うことを考慮している。
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