研究課題/領域番号 |
24890235
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
千々岩 友子 順天堂大学, 保健看護学部, 助教 (40637104)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 精神科デイケア / 導入期 / 精神看護 / 精神科デイケア看護師 / 看護技術 |
研究概要 |
精神科デイケアは、精神科外来を基盤とし、医療と地域生活をつなぐリハビリテーションという重要な位置づけにある。そのなかでも、デイケアの導入期は、中断率が高く、利用開始数日で不適応を示すという報告がある。導入期においては、中断を防ぎ、継続および段階的なリハビリテーションが行われるような支援が必要であるが、この時期への看護支援については明らかにされていない。したがって本研究は、精神科デイケア導入期の利用者に対して行っている看護ケア技術を、質的記述的分析方法で明らかにすることを目的とした。平成24年度は、研究倫理審査委員会への申請と承認を得たのち、研究協力施設および対象者に研究の説明と同意を得た。次に同意の得られた対象者に個別に半構成的インタビューを行い、逐語録におこしたものを分析した。対象者は、精神看護の経験年数が、2~30年であり、かつ精神科デイケア導入期の看護の経験のある看護師17名であった。分析の結果、10のカテゴリーが抽出され、精神科デイケア導入期の看護ケア技術は以下のように分類された。「目標や構造を決定していくことを助ける」「安心して居られる空間をつくる」「情報を引き出す」「療養生活上の相談と教育」「方向を示し治療プログラムにのせる」「本人のペースを守る」「利用者同志をつなぐ」「自信を湧出させる」「症状の変化をつかむ」「横のつながりをむすぶ」であり、利用者がデイケアに定着できるように安心感のある場をつくったり、デイケアを利用していくための動機づけに働きかけていたことが明らかになった。 平成25年度は、分類された精神科デイケア導入期の看護ケア技術の関連性を構造化し、論文にまとめ、精神保健看護に関する専門学会へ研究成果の公表をおこなう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画は、平成24年度に、①研究説明書や同意書類の作成、②研究倫理審査の申請と承認を得る、③研究協力施設および対象者への説明と同意を得る、④インタビューによるデータ産出を行い、平成25年度に、⑤データ産出と分析を進める、⑥論文にまとめる、⑦学術学会に研究成果を公表するであった。平成24年度については、①から⑤まで遂行できた。また、結果がでた段階で、抄録としてまとめ、看護系の学術学会で発表するため、抄録を投稿した。現在は、分析の結果、つまり分類された精神科デイケア導入期における看護ケア技術の関連性を構造化し、⑥の論文作成に取りかかっている。したがって、研究の進行度は計画以上に進んでいると判断した。また、本研究の研究課題は、精神科デイケア導入期における看護支援モデルの開発であった。看護モデルを導くためには、研究対象である看護師の臨床能力も一定の水準を必要とした。精神科における臨床能力は精神科看護経験年数が3年以上で有意に認められていることが明らかになっている。本研究の研究対象は、1名を除き、精神科看護経験年数が3年以上であり、課題を遂行するための目的も達成できたとみなす。
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今後の研究の推進方策 |
研究遂行の2年目である平成25年度は、精神看護学を専門とする研究者とともに、分類された精神科デイケア導入期の看護ケア技術について関連性を構造化し、妥当性を評価する。次に、研究課題の背景でもあったデイケア導入期の中断率の高さについての関係性を、文献を渉猟しながら考察し、論文にまとめる。続いて、国内外の精神保健看護関連の学術学会へ研究成果の公表を行う。精神科デイケアは、わが国の目標でもある「入院医療中心から地域生活中心へ」の基本的方策により、医療と地域生活をつなぐリハビリテーションという重要な位置づけにある。本研究では、入院治療を終えた患者がリハビリテーションを始める精神科デイケアの導入期に焦点をあて、その看護ケア技術を明らかにしつつある。これを踏まえ、精神科デイケアを卒業、つまり一般企業就労へ移行させるための看護ケア技術について明らかにしていく必要があると考え、次の研究課題の検討を行っている。 研究計画の変更あるいは問題点はなく進んでいる。
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