精神科デイケア導入期は、デイケアの治療を導入してから集団に慣れるまでの時期とされデイケアからの脱落率が高いことやデイケア利用者の大半が利用開始数日で不適応を示すという報告がある。導入期においては、中断を防ぎ段階的にリハビリテーションが行われるような支援が必要であるが、導入期に携わる看護師のケア内容を包括的に示した研究は報告されていない。したがって本研究は精神科デイケア導入期の利用者に行っている看護ケア内容を明らかにすることを目的とした。対象は、精神科デイケア導入期の看護の経験がある看護師17名であり、導入期の利用者への看護行為や利用者の反応について半構成的インタビューを行い、質的記述的分析を行った。分析の結果、10のカテゴリーと39のサブカテゴリーが抽出された。カテゴリー間の関連性から「直接的ケア」と「間接的ケア」に分類された。「直接的ケア」は、『安心して居られる空間をつくる』『本人のペースを守る』『目標を決定していくことを助ける』『方向を示し治療プログラムにのせる』『自信を引き出す』『情報を引き出す』『症状の変化をつかむ』『セルフケアの向上を支える』、「間接的ケア」は、『支援者と連携をむすぶ』『利用者同士をつなぐ』から構成された。看護師は、安心して居られる空間をつくるために、あらゆるアプローチ方法で利用者の話を聴き緊張を和らげ、目標を決定していくことを助けるために、本人の意向を確認し、症状の変化をつかむために利用者の精神症状や向精神薬の副作用症状の変化に焦点をあて早期発見に努めていた。以上のことから、看護師は導入期の中断の要因となる居場所のなさ、利用動機の欠如、症状再燃の回避をしていることが示唆された。これは導入期における看護ケアの特徴であるといえる。
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