哺乳類の発生過程においては由来の異なる2つの造血系が存在し、それぞれ異なるヘモグロビンを発現することが知られている。しかしながら、成体ではこれら2つの造血系が同時に存在することはない。 我々は、成体マウスにおいて重症貧血を誘導することで、胚子ヘモグロビンを再発現する実験系を確立し、肝臓において胚子ヘモグロビンと赤芽球系マーカーを同時に発現している細胞を確認した。また末梢血において胚子タイプと成体タイプのヘモグロビンが同時に存在していることが確認できた。さらに、これらのヘモグロビン発現制御因子の発現も確認した。これらの結果は、ヘモグロビン発現機構解析のための新たな情報を提供するものである。
|