本研究の目的は、高齢化率の急速な上昇が予測される大都市近郊において、神経認知障害高齢者の早期支援・早期介入を行うための課題の明確化を行うことである。 神経認知障害を持つ方のご家族の会に参加し、本人・近親者の状況を確認し、そのご家族の会や高齢者ケア外来を多職種で運営する医療機関において、早期神経認知障害を持つ高齢者、およびそのご家族を調査対象者とし、インタビューを行った。インタビュー内容から、受診・相談行動にいたるプロセスを、受療者および家族の両側面より捉え分析した。 ご本人自身の受療行動への意識は薄く、ご家族が今までと違う変化に気づき、身内や友人に相談し、新聞広告の相談連絡先や地域包括支援センター、医療福祉従事者に相談するプロセスを経て受療行動へ移っていた。 調査内容から、相談や受療にいたる葛藤や困難、症状の緩やかな出現、加齢によるものとの区別のつきにくさ、相談のタイミングのつかみにくさ、など神経認知障害特有の症状の出方等が相談行動・受療プロセスに影響を及ぼしていることが明らかとなった。 これらから、相談支援者の支援の方法や早期神経認知障害高齢者およびご家族自身へ向けた教育コンテンツの検討を行った。
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