本研究は養護教諭の養成教育に焦点をあて、教育系、看護系、学際系(栄養学や心理学等)と異なる養成機関を経た養護教諭が受けてきた教育と実践に関する認識を明らかにし、養護教諭養成課程の教育内容(カリキュラム)を検討することを目的とした。具体的には、1.異なる養成機関を経ている養護教諭に対して、受けてきた教育がどのように実践に影響しているか、インタビューを行い、それぞれが抱いている認識を明らかにする。2.各養成機関の養護教諭免許取得のための現行のカリキュラムの内容。3.1,2より現行のカリキュラムの問題点を分析し、今後の養成教育に向けての提言を行う。ことを目標に計画を立て、研究に取り組んだ。 養護教諭は、養成課程での教育についてさまざまな思いを抱いていた。特に看護系では養護や教育に関する学びが少ないこと、学際系では救急処置に関して不安が大きかったこと、教育系では十分な学びを得たことを語っていた。しかしながら、いずれの養護教諭も、学生のときに必要な知識や技術、養護教諭像などの基盤を築き、教員になってからはベテラン養護教諭の実践や他校の養護教諭とのつながりにおいて自らの実践を振り返ったり、組織の中でいかに良好な人間関係を作るかに努力していたり、子どもや保護者の実態と向き合って働いていた。その経験や実践の積み重ねにおいて、学校組織の一員である養護教諭として働いていく自信を持っていた。 また、現行のカリキュラムの内容を概観すると、看護系は教育系や学際系のカリキュラムに比べて免許法上の「養護に関する科目」において養護の専門科目が少なく、積極的に看護学の科目が読み替えられていた。 以上より、各養成機関で用意されているカリキュラムに差が生じている現状において、なるべくその差を小さくするべく読み替え科目の再検討が課題であり、養成課程で学ばなければならないことをさらに探求していく必要性が示唆された。
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