研究概要 |
患者選択と調整因子の解析:初回登録時と登録5年後のJ-HAQ(機能障害指数)データが得られた4,408名におけるJ-HAQ進行(HAQ slope)に関連する因子を検索した。5年間の経時的J-HAQの変化から算出したHAQ slopeを従属変数とし、重回帰分析により機能障害進行と関連する遺伝要因以外の因子を検討したところ、関節リウマチ(RA)の疾患活動性、女性、発症時年代、発症時年齢がJ-HAQの進行に関与していることが明らかとなった。この成果は2012年の米国リウマチ学会にて発表し、投稿準備中である。 ゲノムワイド関連解析(GWAS)およびバリデーション:このプロジェクトでのDNA利用について同意が得られている患者1,384 名を遺伝子解析の対象とした。このうち346名は他のプロジェクトですでにGWASが実施済であることから一次スクリーニングの対象とし、バリデーションにはGWAS未実施の1,038名を用いる予定とした。前記項目を調整因子、HAQ slopeを従属変数とし、各SNPを説明変数とする重回帰分析を行ったところP< 1 X 10-5をクリアしたSNPは存在しなかった。 関節リウマチ患者における骨折の特徴の解析:RA患者の機能障害の進行はRAの疾患活動性のみならず、合併症にも大きく依存する。そこで同時に、当施設のコホート調査を用いて9,720名のRA患者における骨折の特徴を検討した。その結果、複数回骨折は女性に多いこと、上下肢骨折は転倒によるものが多いこと、脊椎骨折は不顕性骨折が多いことなどが明らかとなった。上下肢骨折予防には転倒予防が特に有用なこと、脊椎骨折予防には骨粗鬆症治療が特に有用であることが明らかとなった。この成果はArch Osteoporosにオンライン掲載中である。
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