研究課題
近年、真菌細胞壁多糖は、ほぼ全ての真菌表面に特異的に発現すること、およびその毒性の低さから、真菌症ワクチンの候補として有望視されている。しかし、その抗原性の低さ故に、特異的免疫応答を誘導する方法論に乏しい。従って、本課題の克服を目的とし、本研究を行った。平成24年度では、βグルカンを正電荷脂質であるDOTAPとDC-cholesterolを構成脂質とするリポソーム(DOTAP/DC-chol liposome)へ搭載し、マウスへ経鼻投与すると、βグルカン高感受性マウスであるDBA/2マウスにおいて、βグルカン特異的抗体応答を誘導することに成功した。しかしながら、1) BALB/cマウスにおいて抗体産生を誘導できない点、2) 長期の投与を必要とする点が課題であった。そこで平成25年度では、これらの課題の克服を目指した。1) βグルカンをキャリア蛋白質BSAと結合させ、DOTAP/DC-chol liposomeに搭載し、BALB/cマウスへと経鼻投与した。しかしながら、抗βグルカン抗体産生を誘導することが出来なかった。2) DOTAP/DC-chol liposomeの粘膜アジュバント活性の増強を目的とし、TLR9リガンドであるCpG ODNを静電気的にDOTAP/DC-chol liposomeへ搭載したCpG liposomeの作製を行った。比較的物性の安定したCpG liposomeを作製することに成功した。次に、CpG liposomeの粘膜アジュバント活性をモデル抗原であるOVAを用いて検討したところ、DOTAP/DC-chol liposome単独に比べ、有意にOVA特異的抗体産生を高めることに成功した。現在、このCpG liposomeを用いて多糖抗原に対する抗体誘導について検討中である。3) 真菌細胞壁からマンナン、βグルカンの調整を行った。現在、これらをリポソームへ搭載し、抗体誘導能について検討中である。本研究により、抗原性の低いとされる多糖抗原に対して正電荷リポソームを用いて、多糖抗原特異的抗体を誘導する新規方法論を見いだした。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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