研究課題/領域番号 |
24890275
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研究機関 | 梅花女子大学 |
研究代表者 |
高橋 純子 梅花女子大学, 看護学部, 助教 (60636596)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 血液透析 / 透析低血圧 / リスクスケールの開発 / 透析看護 |
研究概要 |
本研究の目的は、透析低血圧の発症を予見するリスクスケール(Intra Dialytic Hypotension Risk Scale:以下IDHRスケールと略す)を作成し妥当性を検証することである。研究方法は、文献を基に39項目からなるIDHRスケールの原案を作成し、近畿圏内の7つの医療機関で透析を受ける患者372名を対象に39項目の臨床データ及び患者属性を調査した。分析方法は、“処置介入スコア”を作成し相関分析にて血圧(透析前後差)との関連性を検証した。また、IDHRスケールの項目を重回帰分析により抽出し、処置介入スコアとの妥当性を相関および単回帰分析にて検証し4つの結果を得た。【①】血圧(透析前後差)と処置介入スコアは有意な相関関係にあり、分割点の検証ではROC解析により妥当性を確認できた。【2】IDHRスケールの項目に①性別、②収縮期血圧透析前後の差、③不整脈の有無、④左室肥大の有無、⑤除水速度、⑥息切れの有無の6項目が抽出された。【3】処置介入スコア及びIDHRスケール総合点は有意な相関関係にあり、有意血圧低下群はIDHRスケールの総合点が高かった(r=0.434 p<0.000)。【4】IDHRスケール各得点境界における度数の差を分析した結果、IDHRスケール 2と3の間(χ2値5.199 p<0.05)、4と5の間(χ2値8.923 p<0.01)に有意差を認めた。また、DSRスケール総合点毎の血圧低下群の比率は、0-2点以下51.2~55.6%、3点72.2%、4点84.1%であり、5点以上では100%であった。以上の結果より、患者から非侵襲的に得られた既存の血液・生理学検査データの活用及び透析中に生じる自覚症状に対する問診の6項目により透析困難症を予測できることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は第1段階はIDHRスケールの開発、第2段階は透析低血圧に関する情報提供(ホームページによるIDHRスケールの公開)を目指す。以下に研究の進行状況を示す。 1段階:IDHRスケール開発(平成24年4月~平成25年7月予定) (1)測定概念の明確化(平成24年4月~平成24年12月予定):施設で患者から得られる必要データの収集は完了した。(2)項目の収集と反応カテゴリーの決定(平成25年1月~平成25年4月予定):得られたデータの整理、分析によりリスクスケールの項目に必要なリスク因子を統計学的手法により抽出した。(3)信頼性・妥当性の検証(平成25年5月~平成25年7月予定):統計学的手法に基づき、透析低血圧が生じた時の対処方法、収縮期血圧透析前後差の値とIDHRスケールとの関連を検証した。 以上までは、平成25年7月を完了予定としていたが、平成25年4月には終了してる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、第2段階である透析低血圧に関する情報提供(ホームページによるIDHRスケールの公開)を目指すため、下記のとおり研究活動を継続していく。 1.データの蓄積と評価基準の作成(平成25年6月~平成25年11月) 透析室に勤務する看護職者に対してIDHRスケールを用いた臨床への試用を実施・評価する。 2.透析低血圧症における情報提供(平成25年12月~平成26年3月) ホームページを開設し、リスクスケールの評価、その使用方法についてはインターネットを通じて公表していく。リスクスケールそのものについてもPDFなどにより自由にダウンロードし迅速に入手・使用できるようできるように構築する。 また、透析低血圧症や関連する合併症について情報提供を随時行い、安全に、安定した透析療法を提供することを検討できる看護職をはじめとする医療者及び、患者向けのコミュニケーションツールを構築し、その運営管理を継続し実施していく。
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