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2012 年度 実績報告書

新規細胞膜エストロゲン受容体のシグナル伝達機構の解析と受容体タンパク質の同定

研究課題

研究課題/領域番号 24890286
研究機関産業医科大学

研究代表者

高橋 圭太  産業医科大学, 医学部, 助教 (50634929)

研究期間 (年度) 2012-08-31 – 2014-03-31
キーワードエストロゲン / カテコールアミン / 核内受容体 / ファージディスプレイ / 植物性エストロゲン
研究概要

本研究では、エストロゲンや植物性エストロゲンが未知の細胞膜エストロゲン受容体を介してウシ副腎髄質細胞のチロシン水酸化酵素(TH)を活性化する機序の解明と、細胞膜エストロゲン受容体タンパク質の分子薬理学的検討を行う。平成24年度に以下の結果を得た。
①ウシ副腎髄質細胞をエストロゲンおよび植物性エストロゲンで刺激し、THのリン酸化を定量した。これらの刺激によって、THのリン酸化がわずかに増加した。②エストロゲンによる細胞内Ca2+濃度の変動を観察したが、明らかな変動は認められなかった。③細胞内cAMP濃度の変動に及ぼすエストロゲンの影響を検討したがほとんど影響はみられなかった。①~③の結果より、エストロゲンおよび植物性エストロゲンのTH活性化作用にはTHのリン酸化促進が関与すると考えられるが、この作用はcAMPやCa2+が関与するシグナルに非依存的であると考えられる。
④細胞膜エストロゲン受容体としてGPR30が知られている。本研究のターゲットである膜受容体がGPR30とは異なる受容体であることを示すため、細胞膜へのエストロゲンの結合をGPR30のアンタゴニストであるG15が抑制するかどうか検討した。G15はこれを抑制しなかったことより本研究のターゲットである膜受容体はGPER-1とは異なる受容体であると考えられる。⑤受容体タンパク質を同定するため、ウシ副腎髄質細胞のcDNAからファージライブラリを構築した。ウシ副腎髄質細胞の細胞膜で免疫したウサギ血清より抗体を精製した。この抗体と反応するファージのゲノムを精製し、cDNAを挿入した領域の塩基配列を決定した。BLASTを用いて決定した塩基配列より発現タンパク質を同定した。同定したタンパク質の約90%がクロモグラニンAであった。この結果より、ファージの濃縮に用いる抗体からクロモグラニンAに対する抗体を除去する必要があると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

エストロゲンおよび植物性エストロゲン刺激によるチロシン水酸化酵素活性の上昇に関わるシグナル伝達解析について、エストロゲンや植物性エストロゲンによってTHのリン酸化が増加するが、その増加率がわずかであり、また初代培養系を用いた検討であるため実験間の増加率が一定しない。そのため各種リン酸化酵素阻害剤の影響を調べることが難しい。
細胞膜エストロゲン受容体タンパク質の同定について、ファージディスプレイ法にてファージを選別するポリクローナル抗体中にクロモグラニンAに対する抗体が大量に含まれる。そのため、目的とする受容体を発現するファージを選別することが困難である。これを除去するためにクロモグラニンAを精製する必要がある。

今後の研究の推進方策

エストロゲンおよび植物性エストロゲン刺激によるチロシン水酸化酵素活性の上昇に関わるシグナル伝達解析について、ウシ副腎髄質の初代培養では、実験に用いる細胞を採取するために用いるウシの系統、性別、年齢をコントロールすることができないためか結果が安定せず、また実験のペースも制限される。そこで、ラットの褐色細胞腫由来の細胞株であるPC12細胞を用いて、エストロゲンおよび植物性エストロゲンがチロシン水酸化酵素活性の変動、リン酸化等に及ぼす影響を検討する。
細胞膜エストロゲン受容体タンパク質の同定について、ポリクローナル抗体中に存在する抗クロモグラニンA抗体を除去するため、ウシ副腎髄質細胞よりクロモグラニンAを精製する。精製したクロモグラニンAを磁気ビーズに固定し、ポリクローナル抗体と反応させ、抗クロモグラニンA抗体を除去する。得られたポリクローナル抗体でファージの選別を行う。

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公開日: 2014-07-24  

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