細胞に過剰発現したNup88ががんの悪性化を促進するかどうかは不明瞭なままである。そこで本研究では、Nup88と結合する因子を検索し、この相互作用のがん促進効果を検討した。結果として、上皮間葉転換の指標分子であるビメンチンをNup88の新規な結合因子として同定した。細胞におけるNup88の強制発現は、ビメンチンの細胞内発現量に影響を与えなかったが、ビメンチンの重合を阻害した。単量体ビメンチンは、転写因子として機能することが報告されているので、Nup88がビメンチンを介した転写制御に影響してがんの悪性化を導く可能性を考えている。
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